

「物体の運動には必ず音が生じる。太陽や月、全ての星々の円運動で発せられる音には音楽の調和と同じ比率の調性がある」と考えた思想家たちがいた。紀元前6世紀のピタゴラス学派である。算術と幾何から生まれた音楽の調和が天球の動きを司るという思想の下で議論が始まり、学問としての音楽と天文学の密接な関係はその後約二千年間探究された。ピタゴラス学派が用いた音律は当時洋の東西を問わず世界中で用いられていた。その音律の計算式ではオクターブの中を無限に分割することができる。そこで地球の公転における1度ごとに2音階の720音階という天球の調べを計算し図表化することにした。これは聞くための調性ではない。数の比率という二千年の長きに渡り考え作り出された思想の拡張とその体現である。
一方でひとは明確な音の高さを知覚できるならば自然発生の音の現象すべてに調性を感じ取るかもしれない。それは作り出されたものではなく自然の存在から読み解かれるべき調べと言える。それを偶発の調性と名付けてみた。そこで予測困難な発音原理を用いて、自然が自ら音を奏でる装置を制作することにした。
自然の運動から洞察しようと試みる思想と偶発による2つの調性。その原理と探究の性質の違いを今回の展示で経験していただければ幸いである。
佐藤実
佐藤実(またはminoru sato -m/s、m/s、佐藤実 -m/s)
1963年宮城県生まれ。神奈川県鎌倉市在住。自然記述と芸術表現の関係に関心を持ち、さまざまな自然現象と多様な概念に基づいた展示作品や実演作品を制作し、学際的な領域で活動するアーティスト。1980年代末より活動をはじめ、国内外にてインスタレーションやパフォーマンスを発表している。また共同やソロにて音楽活動も展開している。
並行して学芸及び研究活動も行っており、1994年–2006年アーティストレーベルWrKを設立、運営。公立美術館学芸員として1991年–2011年川崎市市民ミュージアム、2011年–2013年せんだいメディアテークに在籍。現在はアメリカの作曲家アルヴィン・ルシエの作品研究を中心に講演やコミュニティFM「渋谷のラジオ」にて写真家の平間至と共に音楽番組のパーソナリティ、ポッドキャスト「アートラジオ 藝術の話」の管理人などを務めている。
プレスリリースより一部編集して転載
◇佐藤実ウェブサイト
https://www.ms-wrk.com
◇YouTube
https://www.youtube.com/@woowhaz/videos
◇アートラジオ 藝術の話
https://www.art-radio.online
佐藤実 minoru sato -m/s
Two Tonalities on Thought and Spontaneity 思想と偶発、ふたつの調性
orbital HARMONY OF a SPHERE─Extending the tonality what they had thought at one time 公転の調性─かつて考えられていた古代の音律体系の拡張に基づく
SPONTANEOUS HARMONY played by apparatus “QUEEN OF HEARTS”─on the tonality what we won’t 装置QUEEN OF HEARTSが奏でる自然発生の調性─意図なき音律に基づく
(二つのインスタレーションのタイトル)
会期:2025年9月19日(金)〜10月6日(月)
開廊:金・土・日・月曜
予約制:火・水曜
休廊:木曜
時間:10:00〜19:00
会場:obi gallery
住所:神奈川県藤沢市村岡東 3-12-7
電話:0466-25-7581
https://www.obi-gallery.com
*Talk & Live Performance
日時:9月23日(火・祝)16:00
入場料:2000円(1ドリンク付)
経路
JR・小田急線・江ノ島電鉄線「藤沢」駅・南口「ODAKYU湘南GATE」前の8番のりばからF6「渡内中央方面」行バスに乗る。バス乗車時には「渡内(わたうち)会館入口まで」と運転手に告げ料金を支払う。「渡内会館入口」下車。バスで来た道を少し戻り横断歩道のある少しずれた十字路を左折。すぐの四角を右折し下る。さらに次の四角を右折し右側。徒歩約2分。
◆駐車場なし
車椅子
会場までに階段あり。
SNS
https://x.com/kumikoobi
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