



今年義母を、14年前に父を、病気で見送った。二人共病状が進むにつれて、足や胸に水が溜まってしまった。近場の海に行くと、人の体内で循環できなくなった水を少し思い出した。夕暮れの海に出かけるせいか、人が亡くなると静かにあの水へ還っていくイメージも湧いてくる。
被写体となってくれる50代の同級生や、ひと回り年下の友人の10代、20代の頃を知っている。海辺の日中の強い日差しのような、自分なりにヒリヒリする時間をその頃はお互い過ごしていたかもしれない。時は戻すことはできなくて、先に進むしかないけれど、歳を重ねてややぼんやりしたトーンの夕暮れ時が来て、いずれ死を迎えたとしても、人はまたどこかで生まれ変わり朝を迎えるのではないかと健気に想像してしまう。次に生まれ変わったら、人か馬か小さな貝か人形かわからないけれど、先に逝った人、これからお別れしなければならない人にもまたどこかで逢えるだろうか。また馬鹿話もできるだろうか。
高橋万里子
高橋はこれまで、母親ら身近な人物や人形、植物や剝製等を室内灯だけを使用してあえかに撮影するシリーズを中心に、極彩色の食物モチーフの写真、人形のコラージュ作品など、その時々の心の襞や身の回りの世界を探るように、多様な表現を試み作品を発表してきました。
2022年7月にはそれら初期から近作に至る変遷を辿った写真集『スーベニア』(ソリレス書店)を刊行しています。
今回の個展「BEACH」では、江ノ島近くの海岸の変化に富んだ風景、女友達のポートレート、スーベニアを混在させ、独自の繊細な世界をさらに拡げています。
プレスリリースより転載
高橋万里子は1970年神奈川県生まれ。カラーのインクジェットプリント約20点の展示。
高橋万里子写真展「BEACH」
会期:2025年11月6日(木)〜11月18日(火)
休:会期中無休
時間:12:00〜20:00
会場:photographers’ gallery
住所:東京都新宿区新宿2-16-11-401
電話:03-5368-2631
https://pg-web.net
経路
東京メトロ丸ノ内線・副都心線、都営地下鉄新宿線「新宿三丁目」駅C7出口を出てすぐの角を右折(「ファミリーマート」を左に見て)して進む▶▶突き当りを左折し、左側2軒目「そば処更科」のあるビルの4階。徒歩3分。
車椅子
会場のある4階まで階段のみ。
SNS
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