ストラポンタン(展覧会紹介など)

野島美穂展「月の夜に」

「月の夜に」65×53cm
「波もくだけて」65×53cm

 
箔を使った古典技法の平面作品約20点を展示いたします。
画面の中の独特な形や色彩、特に“ひかりあるいは輝き”は野島作品の特徴と言えるでしょう。この幻想的とも言える作風が作者にとって単なる空想ではなく、かなりリアルに心に現れるイメージのようです。
福島県いわき市の海に近い環境で生まれ育ちました。そこでの空気、光、水、風、土などは幼少期の野島の感性を育み、地球、宇宙、生命むろん自分自身も含めて全て自然は一体、という思いが心に刻み込まれたようです。野島の身体・精神を透過するこの自然観は豊かなイメージをもたらし、時にユニークで時にユーモラスであったり美しくもあり、ある種の生命体を連想させることもあります。
描画素材の選択も野島にとって大事な制作の要素です。素材とイメージとの試行錯誤の対話は画家自身の意識を覚醒し、作品の内容を一層深めるという、自力と他力を頼りに時を費やし丁寧に育てあげられた作品です。

(画廊主)
 

素足では歩けないほど熱い砂浜の眩しさや乱反射する風に揺れる波、盛り上がっては砕け落ちる白い泡、幼少の頃に刻まれた海辺の強い光と水の記憶が、箔などの光る素材や水と油を乳化させるメジウムを選ばせているように思います。ひとつひとつ工程を重ねて支持体から作っていく古典技法は、深い集中と瞑想に私を誘い、さまざまな未知なるイメージの受け皿となってくれます。
個展が終わる頃には梅仕事の季節。ここ数年実のなるものが不作とのことですが、幸い毎年梅干し用に分けていただく友人宅の梅は、今年もさほど変わらず実っている様子。梅干し作りは祖母との思い出でもあり、ひとつひとつを手順通りに進めていくと、いつの間にか、あたたかな祖母の陽だまりに包まれているのです。

野島美穂

 
野島美穂展「月の夜に」
会期:2025年5月15日(木)〜6月1日(日)
開廊:木・金・土・日曜
休廊:月・火・水曜
時間:12:00〜19:00
会場:土日画廊
住所:東京都中野区上高田3-15-2
電話:03-5343-1842
https://donichigaroh.com/
 
経路
西武新宿線「新井薬師前」駅(地下化工事中・周辺再開発中)・南口の改札口を背にして左に進む(右手車道を挟んでスーパー「マルエツ」が見える)。「ファミリーマート」の前を通過、右側から斜めに合流する2車線の道路に出る。その先の「押ボタン式信号機」のある横断歩道(目立たない「くみん斎場」あり)を渡って、すぐ左手にある住宅街へ入ってゆく道にまっすぐ進む。左右のいくつかの路地を通り過ぎて、竹の垣根のある十字路まで進む(十字路の左手奥角に平家の一軒家、パン工房「たきびのおうち」あり)。その十字路を左折。竹垣に沿って進み、竹垣が切れるところの左側の一軒家(土日画廊「OPEN」の看板あり)の2階。徒歩5分。
 
車椅子
会場は一般家屋の2階。狭い階段のみ。
 
SNS
https://www.facebook.com/donichigaroh/