in ten years─うつくしいくにのはなし/理想郷 中根秀夫 新写真集刊行記念展 2025

2024-0629-18:45 / 富岡町/毛萱より
2024-0407-08:47 / 楢葉町/山田川河口
2024-0630-05:59 / 富岡町/仏浜 合歓
2013-09-01 16:39 / 楢葉町前原・山田浜 Photogragh
2023-03-30 13:30 / 富岡町夜ノ森 Photogragh

 

中根秀夫の写真集刊行記念展が、ギャラリーナユタとアトリエ・アルボ・インヴェルサにて同時期開催される。
アトリエ・アルボ・インヴェルサでは、「写真集に収録された東北大震災後十年の福島浜通りに取材した大型フォトグラフィー8点と、2012〜13年、国会議事堂前反原発抗議集会に取材した小品フォトグラフィー6点(参考出品)による展示、中根秀夫新写真集の販売、また2階茶室の屋内露路にて、ご希望により、関連ヴィデオ作品「もういちど秋を」、「ちいさなくに」のモニター(32in)上映」(ヴィデオ作品は2本で60分超)が行われる。
 

in ten years
 
初めて福島県の浜通りを訪れたのは2013年9月のことだ。偶然下りた土地の先に開けた「風景」、奇妙な静けさを湛えたその場所に魅了された。海辺の集落は福島県双葉郡楢葉町の前原・山田浜地区、その入口にあたる常磐線の小さな駅が「木戸駅」と呼ばれると後に知った。
 
出会った風景が忘れがたく、常磐線の一部復旧に合わせて2015年に再訪した。以来、幾度となくこの地を訪れ変わりゆく土地に思いを寄せてきた。2020年、発表するつもりもなく撮り溜めていただけの写真を、常磐線木戸駅をめぐる土地の記憶を主題に構成し、福島/FUKUSHIMAをテーマにした写真を都内の二つのギャラリーで発表した。
福島にゆかりのない自分が、先の個展を経て気づいたのは、東京/TOKYOと福島/FUKUSHIMAの歴史的な「非対称性」についてである。FUKUSHIMAの「復興」が謳われたTOKYOオリンピックの開催に伴い、その「復興」の言葉に押し出されるように常磐線全線が開通し、「将来にわたって居住を制限する」とされてきた帰還困難区域内に、政策主導で居住を可能にする「特定復興再生拠点区域」を設け、夜ノ森駅(富岡町)大野駅(大熊町)双葉駅(双葉町)の周辺地域がその対象とされた。2023年には新たなテーマをもとに初めて福島県(郡山市)で個展を開催することとなり、翌春に展示の一部を東京に巡回した。
 
今回の写真集には2021年から2024年夏にかけて撮影された写真170点を掲載する。ここ10年で復興を終えたとされる木戸駅周辺と、いまだ行く末が見出せないこれらFUKUSHIMAの土地を行き来し、「震災から10年」という言葉では括れない「浜通りの現在/現実」を問う内容となる。震災と原発事故の当事者ではなく、しかし同時に福島から送られて来る電気を無自覚に消費し続けた方の当事者として、この土地を通して考え続けること、美術家としてその事実に自覚的であり続けること、「傷」や「痛み」について何度でも問い直すこと、他者の悲しみに寄り添うことの「不可能性」について考えること。そこに新たな「風景論」の地平が開かれるであろう。

2025年3月 中根秀夫

 
in ten years─うつくしいくにのはなし/理想郷 中根秀夫 新写真集刊行記念展 2025
(ギャラリーナユタとアトリエ・アルボ・インヴェルサにて同時期開催)
 
〈1〉
in ten years─理想郷
会期:2025年3月10日(月)〜3月23日(日)
休:水曜
時間:12:00〜19:00
会場:ギャラリーナユタ
住所:東京都中央区銀座1-9-8奥野ビル511
電話:03-3567-4330
https://www.gallerynayuta.com
 
経路
中央通りからの場合。「銀座一丁目」交差点、「HARRY WINSTON」の角から柳の木の植えてある「銀座柳通り」を進む。2つ目の四つ角(ドトール)を左折、左側の古い建物「奥野ビル」の5階。
◆一番近い東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」駅からは、地下構内を歩き10番出口から地上へ。右を向き、四つ角の黄土色タイルの店(ドトール)を確認し、隣のラーメン店「銀座梵天」の方へ進む。一軒先の古い建物が奥野ビル。徒歩1分。
 
車椅子
建物の入口に段差あり。5階までは手動式エレベーター。車椅子の場合は介助者と。
 
SNS(ギャラリーナユタ)
https://x.com/gallerynayuta
https://www.instagram.com/gallerynayuta/
https://www.facebook.com/profile.php?id=100063639727573
 
〈2〉
in ten years─うつくしいくにのはなし
アトリエ・アルボ・インヴェルサ ギャラリーオープン企画
会期:2025年3月11日(火)〜3月23日(日)
休:3月17日(月)、3月18日(火)
◆3月20日(木・祝)はトークイベントのみの営業
時間:14:00~20:00
会場:アトリエ・アルボ・インヴェルサ
会場への経路:吉祥寺駅から徒歩15分(予約完了後に住所と道順をお知らせします)
予約制(下記URLから)
予約フォーム→https://forms.gle/FD9v2jxUu6aKZ7fb9
https://atelier-arborinversa.blogspot.com/2025/02/in-ten-years-atelier-arbor-inversa.html
 
中根秀夫スペシャル・トーク
日時:2025年3月20日(木・祝)15:00〜(開場13:00)
◆当日はトークのみの受付
会場:アトリエ・アルボ・インヴェルサ
会費:1000円
予約制(下記URLから)
予約フォーム→https://forms.gle/6NForewg76uvuS4r8
 
車椅子
建物の入口までに細い砂利の溝2本、玄関に7センチの段差あり。2階上映会場へのエレベーター無し。
 
SNS(アトリエ・アルボ・インヴェルサ)
https://www.instagram.com/atelier_arbor_inversa/
 
 
〈新写真集〉
in ten years─うつくしいくにのはなし/理想郷
2025年2月28日発行 
著者(撮影):中根秀夫
テキスト:堀宜雄(福島県立美術館学芸員)
デザイン:岡本洋平(岡本デザイン室)
発行:hideonakane-sideB
ISBN978-4-600-01558-9 C0072
A4横変形 上製本216頁
定価:5,500円(税込)
会期中ギャラリーでの販売の他、hideonakane-sideBのサイトから通販可
https://side-b.hideonakane.com/side-b/ity25/
 
中根秀夫ウェブサイト
https://hideonakane.com
 

マップは、ギャラリーナユタのもの